aronwan77’s diary

金魚と熱帯魚の飼育、高齢者介護

身体表現性疼痛障害

母は、10数年前から身体表現性疼痛障害という病気を患っている。

『身体表現性障害には複数精神疾患が含まれます。身体表現性障害の患者は、体の症状を訴えるか、体の症状を示唆するがそれだけでは全てを説明できない不安を訴える、あるいは、些細で、ほとんどありもしない外見上の欠陥にとらわれます。このような症状や不安が多大な苦痛を引き起こしたり、日常生活に支障を来したりする場合は病気とみなされます。身体表現性障害は、以前は心身症と呼ばれていたものが含まれます。身体表現性障害は、基礎にある身体疾患では、患者が訴える身体症状を十分には説明しきれません。しかし、身体表現性障害の患者は仮病を使っているのではありません。本当に重大な体の問題があると思いこんでいます』メルクマニュアル医科百科より

 

母の場合、頭痛、歯痛、眼痛、胸痛、腹痛・・・と身体の至る所に痛みを感じる。最初は心気症と診断された。精神的なものであろうが、痛みの訴えには真摯に応えなければならない。ペインクリニックで疼痛の種類を見極めるため様々な鎮痛剤を使った。健康診断も必ず受けた。しかし、消去法的で残ったのが身体表現性疼痛障害という難解な疾患だったのだ。薬は無い。治療方法は主に心理療法なんだそうだが、そんなことを真面目にやってくれる病院なんて殆どない。

老健精神疾患に詳しい医師や看護師を見たことがない。「何ですか、その病気?」と老健医師に尋ねられた時は、正直愕然とした。心気症ならご老人には多い疾患であるし、認知症の精神症状にも不定愁訴の名で神経症の諸症状は見られるのに。老健医師は認知症に疎いのか。そんなことはないと思うんだけどね。なんか避けているようだ。認知症の患者は老健には相応しくないとアピールしているのかもしれない。

で、老健看護師に、母が訴える痛みに対して偽薬や介護で対応してほしいと言った。

看護師「一日2回、ちゃんと点眼しています。・・・でもすぐ忘れるでしょ?」

私「だから、その時その時の痛み=不安を取り除く行為のことを言っているのです。そもそもすぐ忘れるのだったら一日2回の点眼も必要ないってことになりませんか? 濡れたタオルを目にあててやってください。タオルには“薬が染み込ませてある”と言い聞かせて」

看護師はムカッとした表情になった。私は言い過ぎたのだろうか。そんなことは他人様に委ねるより自分ちでやれよ、と言われているようで、罪悪感を募らせてしまった。この罪悪感については、また後日述べる(介護者の罪悪感 - aronwan77’s diary